〝こんだけ友達できちゃったらもう乗るしかないじゃん〝
一回は諦めかけた地球一周。
しかし再び
彼女を地球一周へ引き戻したのは
ピースボートセンターの仲間達でした。
今回、紹介するのは
キョウイズミアヤカ(ウェイ)
彼女の大逆転ともいえる
ボラスタ生涯を振り返ろうと思います。
彼女と初めてあったのは、
2019年の冬。
ピースボートセンターで開催される
ボランティアスタッフ説明会だった。
その日
私が何より振るわない感触を感じたまま説明会を終えようとしていたのは
彼女の反応がとにかく鈍かった為だ。
女子2人と私
3人のグループにて個別相談の時間。
1人の女の子は船に乗る気満々。
しかしもう1人の女の子は帰りたそうな雰囲気満々。
その後者の女の子が
まさしくキョウイズミアヤカであった。
実家も遠いし、親にもまだ相談してない。
大学のカリキュラムもあってボラスタ活動もあまりできないかもと
私の頭に
一期一会という文字が浮かんだ。
この日が会うのが最後かもしれない。
正直にそう思ってしまった。
それが彼女の最初の印象だった。
ーそこから定着するまでー
意外にも、頻度こそ少ないが
その後ピーセンに来てくれた。
最初は内勤活動から。
それから徐々にポスター貼りにもチャレンジし始めるようになる。
そして、
ボランティアスタッフ活動において
最大にして最強の優れた性質が、ある時期を境に彼女にも現れるようになる。
知らぬ間に、いつの間にか
勝手に友達を作っていくのである。
この活動を積み重ねていくうちに
同じ地球一周を目指す仲間同士で意気投合してしまうのだ。
その子が来るからまた来よう。
皆が頑張っているから一緒についてこよう。
だんだんとお互いの存在が
乗船へのモチベーションになっていくのである。
そうやって引っ張られるようにして
ボランティアスタッフは
ともに船を目指す熱い気持ちを途切れさせる事なく高めあっていく
そして不思議なもので
ピースボートセンターは知らぬ間に、
その人が欠かせない空間に変わっていってしまうのだ。
彼女もまさにその1人になっていった。
可能性が薄かったはずの地球一周が
徐々に定着するのと比例して
だんだんと現実味を帯びていったのだった。
ーしかしその最中、世界中で予想もしてなかった事が起きるー
遂には、
彼女は大学を休学して
本格的にプランも固め地球一周を決意する。
順調にいけば、まず問題なく全クリに到達して船に乗れていたはずだった。
しかし、
苦渋の決断の果て
どうにもできぬ世界規模の障壁により
彼女は地球一周を断念してしまうのである。
ー約1年の空白期間ー
そこからというもの約1年間
ポスター貼りの活動から遠ざかっていた。
しかし、彼女の中で
船や仲間への心残りはいつまでも消える事はなかった。
このままで良いのか。
今、自分のすべき事は就職する事なのか、
自問自答を繰り返す日々が続いていた。
きっかけはなんだったのだろうか。
今思うと、
初めからそうなる事が決まっていたかのように感じてしまう。
とある日に彼女は
久しぶりにピーセンを訪れるのだ。
そこには1年前の時にはいなかった
知らないボランティアスタッフの顔があった。
きっと彼女の知ってる以前のセンターとは異なる姿を成していたであろう。
しかし、この瞬間。
彼女はピースボート乗船する上で
最大のターニングポイントの岐路に立つ事になる。
まさしく この新たなボラスタ達との出会いが、
計らずも
再び地球一周を目指す
カムバックへの引き金となるのだった。
ーカムバックしてからー
〝こんだけ友達できちゃったらもう乗るしかないじゃん〝
私は彼女のこの台詞が
とても気に入っている。
なぜなら、何よりもこのピースボートセンターの存在意義を認めてくれるような言葉だからだ。
こういう若者の為にピースボートセンターがあるのだ、そう思わせてくれる。
そこからの彼女は
1年のブランクがまるで嘘のように
ポスター貼りの大躍進を遂げていく。
あれは間違いなく覚悟を決めた人間の姿だったに違いない。
1日たりとも怠ける事なく
ひたすらポスターと向き合い続ける日々を送った。
そして2021年6月12日
遂にキョウイズミアヤカは
1年半ごしの全額クリアを達成するのであった。
改めて。
間違いなく彼女の地球一周は他のボランティアスタッフがいなかったら
成り立たなかったであろう。
最初はそこまで本気ではなかった地球一周を
一緒に船を目指す″仲間″の力によって、志すようになって
そこから1度は諦めたはずが
また今度は違う新たな″仲間″の力によって
引き戻されたのだ。
幾度かあった
彼女の地球一周の分岐点は
その都度、人によって修正されていった。
そんな仲間達によって
繋ぎ止められた彼女の地球一周には
どんな意味があるのだろうか。
私はこう考える。
きっとその仲間達の地球一周にとっても
彼女が必ず必要な存在であったと思うのだ。
彼女がいなかったらまたとある1人の人間の
地球一周も実現しなかった。
そうやって
苦楽をともにしながら
助け合いながら人と寄り添う
きっとそのために
彼女が船に乗る理由があると思うのだ。
初めての説明会で個別相談した日。
船乗る気満々だった子は
残念ながら断念してしまった。
帰りたそうにしていた子は
今、たくさんの仲間を抱え、
これから一生で一度の
地球一周の旅へ出かけていく-
熊井淳