ボランティアスタッフ紹介Vol.2

 

 

 

″窮地に陥っているピースボートセンターを救う人は

いつだって名古屋の土地とは関係のない他県の人だったりする。″

 

 

 

コロナ時代を支えた″救世主″

 

本日は先日、全クリ(全額割引)を果たした

ボランティアスタッフの紹介です。

一番近くで、かかわってきた熊井よりその思いをつづっていきます。

 

 

 

その男の名は

三重県鈴鹿市出身

マエガワシンゴ(あだ名:ディンゴ)

 

彼と出会ったのは昨年の11月ー

私、熊井はその日

コロナによる暗黒時代
(ピーセンに人が全然来ない状態)に

風穴をあけてくれる

一筋の希望の光を見つけたのだった。

 

その男は話によると、プライベート問題と仕事問題のダブルパンチを抱えていて

精神的に疲弊しきっていたものの、なんとかそれらの悩みを

全て解決して、漸く自由になれた、という苦労人だった。

そして知人の過去乗船者にPBを紹介してもらい、
流れ着いたのがここだったと言う。

そんな彼は
新たな自分の発見、そして新たな人との出会いを求める為

ポスター貼りで全額分割引を目標に
地球一周を目指すことになる。

 

 

 

彼との記憶で印象的だったのは
日々、お互い理想のピーセン像を話し合った事だった。

〝どうやったらピースボートセンターなごやに人が集まるのか?〝

ただただそれについて
毎日夜な夜な語り合った気がする。

 

結局、何か答えを導き出した訳ではなく
今考えると、何か必然的にそうなった、と言った方が近いのかもしれないのだが

結果、我々は
名古屋ピーセンに部活動を起ち上げた。

水曜日の定例ミーティングの後に皆で集う時間をなんとか作れないか?
まずそれがピースボートセンター復興の為の鍵だと思った。

部活動という学校の放課後をイメージした
なんでもないような時間を、少し残って皆と共有する。

それは微量だが毎日続けていくことにこそ意味があった。

最初こそ少人数しか集まらなかったのだが、少しづつ変化が見られたのは部活動を立ち上げてから1ヵ月後。

蛻の殻だったセンターに、毎週この日は必ず来訪する固定レギュラーメンバーが形成されていったのだ。

そして更に2ヵ月が経つ頃になると
今までコロナが理由で、疎遠気味になっていたボランティアスタッフ達が、楽しそうにしているピーセンの話を聞きつけ、
顔を覗かせにくる様になった。

そして3ヵ月が経つと、更に固定メンバーは増え続け
限りなく理想としていたものに近い

水曜日の夜は必ず皆が集まる時間、という習慣が根付いていったのだった。

 

今思うときっかけはなんでもよかったのかもしれない。

しかしポスター貼りと一緒で、

きっとやる事にこそ意義があったと思うのだ。

 

そしてもう一つ。

彼が発案したのがペア貼り文化。

少しでもポス貼りを楽しいものにする為に考えた策だったのだろう。

1人で貼りに行くのは苦痛だが誰かと一緒なら貼りに行ける、

一歩勇気のでない子と、ペア貼りをたくさん行った。

最終的にペア貼り文化はピーセン全体に定着した。

貼りに行かなかった子もペア貼りなら、と以前より前向きにポスター貼りと向き合う子が増えていったのだ。

間違いなく、彼1人の出現でピースボートセンターなごやはみるみるうちに大きく変わっていった。

再び人が気軽に出入りできる場所に戻っていったのだった。

 

 

しかしながら、そんな

彼のボランティアスタッフ生涯はあまりに短すぎた。

本来ならば、これ以上ない程の喜ばしい事なのだが、

それ以上に、その時は何か心に穴が開いたかのような

喪失感の方が上回ってしまった。

 

ポスター貼りを始め約半年。

到底、言葉だけでは表現できない濃密な時間をここで皆と過ごし、

2021年4月28日(水)

救世主マエガワシンゴは、全クリ(全額割引)を達成する。

 

マエガワシンゴのボランティア生活を振り返って

 

改めて思う。

毎日ピーセンに来る人が1人増えるだけで
こうも変わるものだったのだろうか?

 

 

誰しもができた事ではない。

きっと苦労の果てにこのタイミングで流れ着いた彼だったからだろう。

彼がボラスタに火をつけ

そのボラスタがまた違うボラスタに火をつけ

その火が広がり続ける

人から人へ

コロナではない、

もっともっと影響力の強い

″魂″を彼が与えてくれていたのだろう

 

そんな彼に苦労した分どうか幸せになって欲しい。

辛かった過去は全てこの旅の為にあったかのように

どうかどうか報われて欲しい。

 

そして

彼が切り開いてくれた、暗闇の中での一筋の光

塞がってしまわぬうちにどうか、

彼のバトンを誰かに繋ぎたい。

 

けど、心配はしていない。

いつだって、どの時代でも

新たな自分の発見、新たな人との出会いを求め、

地球一周を目指す救世主は現れるはずだ。

 

きっと、もう目の前まで。すぐ傍まで来ていると確信している。

彼が起こしてくれた火が消える事はない。

 

熊井淳